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紹興貴酒が飲めるお店
撮影後記 第5回:手の温もり。
中国の地方の田園風景、滝などを見ると、中国宋代の山水画家が「山が水を得て活かし、草木を得て華やかなり、煙雪を得、麗しくなる」と言っているが、五泄の大滝などはまさにそう言えるだろう。日本の滝がだとすれば中国の滝はまさにである。それは広大な畑や森林を見ても中国の動に対して日本は静の美と言える。そうした風土がまた、中国人という人間を創っているのかもしれな
い。上海、北京に住む人たちは、私たち日本人と一見、変わらないように見えるが、紹興を起点とする浙江省の人たちは日本人が置き忘れてしまった生活の原点と人々の温もりを感じさせてくれた。紹興市、郊外の農家を訪ねて彼らが作った米や穀物を見る。倉庫の奥の方にきれいに整頓され積み重ねてあった。私たちが
訪ねてきたということで、外に大きなテーブルが用意され、その日のごちそうが並べられていた。勿論、紹興貴酒も数本置かれていた。レストランで食事するのとは一味違って家庭味の温もりがあり十人近くで食事をするということは普段ないだけに格別な儀式めいたものもあり、私たちは少し興奮していた。一皿、一皿味つけされ盛られた
品々はどれも、どれも質素ではあったが、とても美しく手の温もりを感じ、実においしかった。中国での小さな幸せがここにもあった。
稲越功一
プロフィール
写真家 稲越功一 Koichi Inakoshi 1980年講談社出版文化賞受賞。国内、海外で多くの作品集を出版、展覧会を開催する。『男の肖像』『Ailleurs』『三大テノール日本公式写真集』『アジア視線』など作品集多数。2005年、松尾芭蕉生誕360周年記念企画として、『芭蕉の言葉』(佐佐木幸綱共著、淡交社刊)を出版、写真展『芭蕉の風景』(銀座・和光ホールにて)を開催。現在、NHK『新シルクロード』取材に参加中。
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